CL決勝T1回戦リヴァプールvsアトレティコ・マドリー2ndレグ

CL決勝トーナメント1回戦

リヴァプールvsアトレティコ・マドリー2ndレグのレビューを書いていく。

 

1stレグでアトレティコ・マドリーにアウェイで0-1の敗戦をした世界王者リヴァプールにとっては絶対に勝たなくてはいけない大事な試合となった。去年のCL準決勝バルセロナ戦2ndレグのホームで4-0の大逆転勝利をしたように、この試合でもホームでの圧倒的な強さを見せてくれると期待を持ちながら見ていた人も多いだろう。

 

f:id:tawagoto_football:20200314151631p:image

スタメンはリヴァプールは1stレグからファビーニョを代えてオックスレイド=チェンバレンが右CHで出場し、アンカーにはヘンダーソンが配置された。

一方アトレティコ・マドリーは2トップがどちらも代わり、怪我明けのジョアン・フェリックスとジエゴ・コスタが出場した。右SBもトリッピアーで右SHはコレアに代わっている。

 

もの凄い熱気で溢れるホームのアンフィールド。ホームでの声援を受けながら逆転勝ちを狙ってリヴァプールは前半から攻勢に出る。

【右サイドを主戦場にした攻撃】

この試合では右サイド大外側にサラーが開くことで相手SBを引き付けてハーフスペースをオックスレイド=チェンバレン(以下Oチェンバレンと表記)に使わせるのが一つ狙いであった。更にアレクサンダー=アーノルド(以下Aアーノルドと表記)を右サイド内側低めの位置に配置することでアーリークロスをあげやすいようにしながらも、サラーがボールを持った時にOチェンバレンとAアーノルドの2つの斜めパスを出せる選択肢を持てるようにしてある。また、サラーのカットインを警戒して相手が内側へのコースを塞いでくるのを利用し、サラーの外側or内側からOチェンバレンが飛び出すというのも見せていた。この右サイドでの攻撃を積極的に行ってクロスまで持っていき、中央のフィルミーノ、マネ、タイミングよく上がってくるワイナルドゥムが合わせにいく。

前半だけでも右サイドからの攻撃を何度も狙っており、対峙する左SBのロディは守備対応に終始苦戦していた。先制ゴールも右サイド駆け上がったOチェンバレンからのクロスに合わせたワイナルドゥムからもたらされた。

【堅い4-4-2のブロック】

アトレティコは前半から4-4-2でブロックを作って守備をする。2トップは1人がアンカーであるヘンダーソンをマークしながら、もう1人がCBへプレスしたり、CHが釣られてスペースが空いてしまった時は2列目に下がることでブロックを崩さないようにしている。この強固なブロックでリヴァプールに中央へ侵入させないようにしていた。

前半30分くらいから試合開始時は左SHであったサウールがCHに入り、コケが左SHに入れ替わっていた。おそらくサラーへの対応でサウールは交わされる場面が何度かあり、リヴァプールの積極的な右サイドからの攻撃を凌ぐためにもコケの方が強度の高い守備ができるからだと思う。

【猛攻のリヴァプール

後半リヴァプールは押し込んだ時にOチェンバレンバイタルエリアに配置し、こぼれ球を拾ってミドルシュートを狙えるようにした(雨の中で人数をかけたブロックを作っているので、シュートがディフレクションしやすい)。そして前半Oチェンバレンが担っていた役割はフィルミーノが中央から流れることで代用する。後半は前半以上に相手ブロックを崩す場面を何度も作ってゴールに迫り、バーに当たる惜しい場面もあった。いつゴールが入ってもおかしくない時間が続き、リヴァプールが勝ち越すのも時間の問題かと思われた。

 

アトレティコは後半途中にジエゴ・コスタを下げてM.ジョレンテを投入して右SHに配置し、右SHのコレアをCFでプレーさせる。前半に比べて疲労もあって2トップの守備が緩くなり、ブロックが崩れる場面も何度か出てくる。ジエゴ・コスタの交代もコンディションが整っていなかったことや守備の緩さからの決断だっただろう。延長前半にはトリッピアーを下げてヴルサリコを投入して更に守備的にする。

 

延長前半ワイナルドゥムが右サイド大外側からドリブルで突破してクロスを上げ、合わせたフィルミーノが一度はGKに防がれるが、こぼれ球を拾って2点目が決まる。しかし2点目を決めた直後、思わぬところでミスが生まれる。前からプレスをかけられたリヴァプールは一旦GKアドリアンにバックパスをする。アドリアンはダイレクトで蹴るが、これがミスキックになり、低い弾道のボールはジョアン・フェリックスに渡ってしまう。最後はM.ジョレンテが際どいコースのシュートを決めて合計スコア2-2のアトレティコアウェイゴールで有利になる。

再び危機に立たされたリヴァプール疲労困憊の中で攻撃的に戦っていく。ひたすらに攻撃をするリヴァプールと、ゴール前で人数をかけて守り切ろうと必死なアトレティコ。その状況下で、まさかの展開になる。左サイドでボールを持ったフィルミーノがカットインしたところをM.ジョレンテにカットされ、モラタへパス。モラタはドリブルで駆け上がり、相手3人を惹きつけたところで中央へパス。パスを受けたM.ジョレンテがまたも見事なシュートを決めて合計スコア2-3のアトレティコが大きく優位になる。更に延長後半終盤にモラタにもゴールが生まれてアトレティコの勝利となった。

 

【勝敗を分けた少しのミス】

リヴァプールアトレティコどちらも120分間全力でプレーして戦っていたのは間違いない。しかし勝敗を分けたのはその中で生まれた少しのミスだと思った。GKアドリアンのミスは特に印象的であるが、あの場面はアトレティコが前からのプレスを延長戦でも続けたことも起因であるし、アドリアンとしては焦ってダイレクトで蹴ったことやアドリアンのボールを受けるポジションが前に出すぎであったこともあるだろう。リヴァプールの2失点目もDFの対応にも少し問題があったとも言える。失点部分だけでなく、攻撃の部分でも少しのパスの選択ミスやタイミングのズレがゴールに繋がらなかったのもあった。延長戦になってホームのリヴァプールの方が集中力がきれてきているように見える場面が多く見えたのも勝敗を分けたと思う。アトレティコも2失点したもののゴール前でのミスがなく、アウェイの厳しい環境下で最後まで集中して守備ブロックを作って自分たちのスタイルで戦っていた。世界王者であるリヴァプールの猛攻をひたすらに守れるのもアトレティコだからこそであると思うし、その気迫と最後まで戦う姿勢は素晴らしかった。

非常にレベルの高い試合であったので見ていて満足いく試合だった。