CL準決勝レアルマドリーVSマンチェスターシティ

21-22 チャンピオンズリーグ準決勝2ndレグ

レアルマドリーvsマンチェスターシティの試合レビューを書いていきます。

 

1stレグではスコアこそ4-3という拮抗した数字であったものの、内容では多くの場面で圧倒し、追加で2点か3点ほど取れてもおかしくない程決定機を創出していたマンチェスターシティが盤石に2ndレグでも勝ち進むだろうと予想していました。

レアルマドリーは1stレグは落としたものの1点差しかないので十分挽回可能であり、決勝トーナメントでは逆転勝利で勝ち進んでいることを考えると2ndレグは大きな一戦となりました。

 

 

スタメンは1stレグからシティは両SBが変わり、怪我で離脱していたウォーカーとカンセロがSBに入りました。ウォーカーは3週間ほど足首の怪我で離脱しており、直前の試合でも出場しておらず、出場が危ぶまれていました。一方のレアルマドリーは1stレグで怪我をしたアラバは出場できなかったものの、カゼミーロが復帰しました。WGにはロドリゴではなくバルベルデが起用され、まずは失点をしないようにバランスを取りながら途中交代でロドリゴやアセンシオを投入して攻勢にくるだろうと予想される人選となりました。

【シティのプレス】

積極的に1stレグと同様にプレスを仕掛けていくシティはCFジェズスが敵CBにプレスしながら敵GKにもプレスしていきます。デブライネがもう一方の敵CBへプレスしてWGは敵SBをマークし、アンカーのカゼミーロにはベルナルドがマークすることでパスコースを消していきます。プレスによってレアルマドリーはビルドアップに苦戦し、思うようにパスを通せずに奪われる場面が何度も見られました。

プレスを回避されても、サイドにボールを誘導してそのまま逆サイドをフリーにする代わりに同サイド圧縮する守備でパスコースを消して奪っていきます。

【サイドから仕掛けていくレアルマドリー

ビルドアップでなかなか中央ではボールを持てないレアルマドリーはサイドからパスを繋いで攻撃を仕掛けていきます。左サイドのヴィニシウスは右SBウォーカーによってドリブルでの突破を許してもらえませんでしたが、右サイドではバルベルデが中央でモドリッチと連携しながら大外高い位置に開いたカルバハルにパスを通して、そこからのクロスでチャンスを作っていきます。

一度左サイドでボールをもってシティのプレスを誘導しながらクロースの精度高いサイドチェンジで右サイドに展開してカルバハルのクロスというパターンでうまくシティの同サイド圧縮する守備を回避していました。

【0トップに変更するシティ】

レアルマドリーベンゼマモドリッチの二人でロドリへのパスコースを塞ぎ、WGのヴィニシウスとバルベルデは敵SBへのコースを消していきます。ベルナルドが下がってボールをもらいに行った時はカゼミーロがプレスしに行ってシティのビルドアップを阻害していました。

デブライネにはクロースがマークしたもののフィジカル面やマークを外す動きで優位に立っていたデブライネがエデルソンを経由してボールをもらうことでプレスを回避していました。他にもエデルソン経由で裏を狙ったりすることでプレスを回避していました。サイドからの攻撃の仕掛けでチャンスを作っていき、枠内へシュートを打つ場面も作れていたもののクルトワの好セーブによってゴールは奪えませんでした。

35分あたりに中央でなかなかボールがもてないことやビルドアップがスムーズにいかないことを危惧してグアルディオラ監督は選手の立ち位置を変更してきました。ジェズスとフォーデンを変更してフォーデンの0トップにすることでビルドアップでのパスコースを作り出し、優位に攻撃を進めていけるようになりました。

【ウォーカーの交代】

右SBに怪我明けながらスタメン出場したウォーカーはヴィニシウスとの1vs1では自慢のスピードを生かして優位に立てており、ヴィニシウスは苦戦していました。しかしながら怪我明けで万全ではないこともあり、71分に走れなくなり交代しました。ジンチェンコが代わりに左SBとして入り、左SBだったカンセロが右SBに入りました。

すると交代後直ぐに交代で入った選手が活躍します。ボールを奪ったジンチェンコがギュンドアン(ウォーカー交代時に同時でデブライネを下げてギュンドアンを投入)に繋ぎ、中央のベルナルドへ渡るとドリブルで仕掛けて敵を引き付けたところで左サイドへパスします。そこにマフレズが落ち着いてシュートを打ち、ゴールネットを揺らすことに成功します。スコアは0-1で1stレグと合計3-5で2点のリードをもったシティは試合を終わらせにかかります。

【終盤の逆転劇】

2点のリードを得て残り18分程という状況になったシティは試合を終わらせにいきます。勝利を近づける得点を決めたマフレズを下げてフェルナンジーニョを入れることで守備に回れる人数を増やして時間を使いながら盤石に試合を進めていきます。

一方のレアルマドリーは攻勢に出るためにクロースとモドリッチを代えてロドリゴとアセンシオを投入します。このままシティが守り切って試合が終わるかと思われた90分に試合が動きます。ベンゼマからの折り返しのパスにロドリゴが合わせて同点になると、92分にカルバハルのクロスからロドリゴがヘディングで合わせて逆転に成功します。合計スコアでは5-5であるものの奇跡的なゴールでレアルマドリーに一気に流れが来ました。延長戦では一度ボールをGKに下げたところから右斜めにパスを通してカマヴィンガがドリブルで縦に持ち運び、右サイドで受けたロドリゴからのクロスにベンゼマペナルティエリア内で倒されてPKを獲得しました。これをベンゼマが決めて合計スコアでも逆転に成功したレアルマドリーが勝利しました。

【試合を分けた要因とは?】

この試合で大きな話題になっているのがシティの負けた要因についてです。多くの人が何が要因で負けたのか、何がいけなかったのか頻りに議論されています。私は今回のシティの戦い方や試合内容、采配について大きな要因は存在しないと思っています。できる限りの策は投じていたと思いますし、2点リードして残り時間十数分であれば守備的な交代で試合を終わらせにかかるのも合理的であると考えます。ウォーカーが万全だったら...交代して入ったグリーリッシュのシュートが入っていれば...などたらればで考えれば色々あるでしょうけれども、あの状況で打てる手は全て出し尽くしたのではないかと思います。敢えて挙げるならマフレズではなくカンセロを下げてフェルナンジーニョを右SBに入れた方が万全だったのかもしれないというところでしょう。カルバハルに前半から何度かクロスを上げさせており、カンセロの守備面は不安要素ではあったのでフェルナンジーニョにした方が良かったかもしれません。しかしながらフェルナンジーニョは本職SBではないこと、ベンチには本職SBがいなかったこと、スピード勝負されたらフェルナンジーニョでは不安であることなど絶対にカンセロを下げるべきだったと言い切れるほどではないという考えもあります。この結果は両者ともに強力な選手がそろっていて持てる力を出し切ったからこそ起こった奇跡であると思いました。こういった逆転劇が起こるからこそサッカーは面白いですね。