CL決勝T1回戦チェルシーvsアトレティコマドリー 1stレグ

CL決勝Tの1回戦1stレグ

チェルシーvsアトレティコマドリー の試合レビューを書いていきます。

 

アトレティコマドリー のホーム扱いとして中立地で開催された1stレグはシメオネ監督の奇策とトゥヘル監督によって効果的な攻撃ができるようになったチェルシーの面白い対戦になりました。リーグ戦では単独首位に立ち、順調に勝ち点は積み上げているものの怪我人や出場停止中の選手がいることで勝ちきれない試合も出てきているアトレティコと監督交代後無敗を継続しているチェルシーという直近の状況ではチェルシーが優勢でした。

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スタメンではアトレティコはマルコスジョレンテを右WB(右SBにも見える位置取り)に起用し、スアレス、ルマル、フェリックス、コレアという能力の高い攻撃的な選手も多数いれた形になりました。一方のチェルシーはトゥヘル監督体制後は定番となった3バックに2WBと2CHに前線3人という形になりました。FWにジルーを起用したのはエイブラハムよりも信頼と大一番での強さを期待してのものだと思います。

 

シメオネ監督の狙い】

この試合で大きく試合を動かしたのは対チェルシーに用意したシメオネ監督の策であったと思います。

正面から真っ向勝負を挑めば個々のタレントが揃っているチェルシーに軍配があることから、ボールを支配するよりも奪取して素早く攻撃を完結させることに狙いを定めていたと思います。

スアレスを起点にして中央へのコースを消しながらプレスし、右コレア左フェリックスが相手WBにプレスすることで前進を阻止してバックパスを誘導し、バックパスに対してそのままスアレスとコレア、フェリックスがプレスをかけにいくことで奪おうとしていました。2CHのコケとサウールも相手CHへパスが渡りそうになったらプレスできるように位置取ることで、チェルシーに前線へパスを渡らせないようにしようとしました。

【プレスを回避させるマウントの動き】

アトレティコのプレスに対してマウントが解決策となる動きをします。

マウントはトップ下(シャドーのような立ち位置)から下がってきてハドソン=オドイとジョルジーニョとの中間あたりでボールを受けにいきます。これによってマウントを経由することでハドソン=オドイへ繋ぎ、サイドからクロスを入れる場面が出てきました。

【撤退守備の6-3-1】

プレスを回避されるようになったアトレティコはプレスをやめてゾーンでブロックを作って守備をしていました。

マルコスジョレンテがSBとしてDFに加わり、更にルマルとコレアもチェルシーのWBについていく形で最終ラインを6人が並ぶようになりました。サウール、コケ、フェリックスが3人でスライドして2ndラインを作り、スアレスが敵CBを見張る形で守ります。後ろに比重が向きすぎにも見えますが、5レーン全てにDFがいるので、チェルシーも崩すのに苦労していました。

 

6-3-1の硬い守備を攻略するためにチェルシージョルジーニョを起点としながらコバチッチと左右のCBでアトレティコの2ndライン3人に対して数的優位を作ってボールを回します。左右にボールを回し、3人のスライドを揺さぶりながら右WBのオドイに裏を狙わせるパスを出したり、マウントとオドイのワンツーで抜け出すことでクロスまで繋げていました。中央は硬いのでサイドを使ってスライドの隙間を狙いながらの攻撃は守りを固めている相手に対して有効なので、狙い通りの攻撃はできていたと思います。しかしアトレティコの硬い守備はクロスからシュートまではもっていかせず、なかなか崩されそうで崩されない持ち前の堅守がチェルシーのゴールを阻んでいました。

そんな展開の中でゴールが決まったのはアトレティコのプレスを逆手に取られた時でした。自陣のスローインから一旦CBまで戻して攻撃を組み立てようとしたチェルシーに対してスアレスやフェリックスなどの前線がプレスしにいったことで、中盤に大きなスペースが生まれ、ロングボールからジルーのポストプレーを起点にクロスを入れられ、最後はクリアミスをジルーが決めました。プレスをした前線と最終ラインとの間に認識のズレがあり、それをうまくチェルシーがジルーのポストプレーを使いながら一瞬の隙を突いた攻撃だと思います。

 

今回アトレティコはある程度狙い通りに進んでいたものの、チェルシーのプレスの早さやプレス耐性によって攻撃がうまくいかなかったこと、1失点してしまったことは想定外だったかもしれません。しかし0-1なのでまだまだ逆転の可能性は十分にあり、失点も守備を崩されたわけではないので、2ndレグも面白い内容になるでしょう。