CL決勝T2回戦1stレグ レアルマドリーvsリヴァプール

CL決勝T2回戦1stレグ

レアルマドリーvsリヴァプールの試合についてレビューを書いていきます。

 

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怪我によって守備の要であるラモスの不在、新型コロナ感染によるヴァランの離脱という主力CBが2人ともいなくなってしまったレアルマドリーミリトンとナチョという珍しい組み合わせでCBを任されました。怪我で離脱中のアザールのところにはヴィニシウスが起用されました。

アウェーのリヴァプールはCBにはフィリップスとカバクが起用され、中盤にはケイタがサプライズ起用されました。CFにはフィルミーノではなく最近好調であるジョッタが任されました。

 

どちらも主力CBの離脱によって守備に不安を抱えている中で、如何にして守備への負担を減らすために攻撃を完結させられるのか問われた試合内容であったと思います。

 

リヴァプールは試合序盤からお得意の前線からのプレスを仕掛けていきます。

しかしレアルマドリーはこのプレスに対して対策を用意してありました。

レアルマドリーのビルドアップ】

いつも通りWGの2人がSBへのコースを切りながらプレスするリヴァプールに対して、レアルマドリーは急がずにGKに戻すことで数的優位にしていました。そのままWGがGKまでプレスしてくれば、ロングボールを前線に向けて出したりモドリッチとクロースの2人にパスを出すことで解決させていました。更にSBが高めの位置を取り、CBと距離を取ることでCB→SBへのコースを切りづらくすることでリヴァプールのSBがレアルマドリーのWGとSBの両方をマークしないといけないという状況を作り出していました。これによって前傾姿勢になったリヴァプールに更なる一手をレアルマドリーは打ってきました。

【クロースの正確な一指し】

GKを使って低い位置から組み立てることでリヴァプールの選手たちを引き寄せたところで、クロースが一気に正確なボールを左WGのヴィニシウスに送ります。SBが高い位置にいることで相手右SBのAアーノルドにメンディーへ注意を向けさせていたこともあり、ヴィニシウスが裏へ抜けだしてそのままゴールネットを揺らしました。更に2点目もヴィニシウスを狙ったクロースの一指しが絡んだものでした。どちらもクロースのマシンのような正確なパスだからこそ生まれたゴールだと思います。またベンゼマが降りてボールを受けようとする動きによってCBの注意を向けさせていたというのも効いていました。

【サイドへ誘導する守備】

レアルマドリーはCBへの不安を抱えていることもあり、ボール非保持の時は中央を塞いでサイドへボールを誘導する守備をしていました。相手CBに対してベンゼマとIHが相手アンカーとIHへのコースを切りながら詰めていくことでコースを限定させていました。もう1人のIHも相手IHをマークすることで中央へのパスコースを失った相手CBはサイドへボールを出さざるを得なくなります。これによってサイドへボールを誘導し、CBへの負担を減らせるようにしていました。中央を突破されそうになってもカゼミーロが素早く対処にいくことで未然に防げていたのもあり、リヴァプールの強力な前線を苦しめることに成功していました。CBの裏へ抜けようとする相手への意識と準備もしっかりされていたので、リヴァプールのカウンターを許さなかったのも良かったと思います。

【後手に回ったリヴァプール

今回クロップ監督の策は早々に崩れました。スタメンにサプライズで起用したケイタを前半40分過ぎに交代させてチアゴを投入しました。

ケイタをスタメン起用した意図はおそらくレアルマドリーマンマークで3トップが抑えられた時に攻撃の選択肢としてケイタのドリブルが活きてくると考えたからではないかと思います。ケイタのドリブルでカゼミーロを引っ張り出せれば後ろのスペースを使って得点の可能性は高くなるだろうし、フィルミーノではなくジョッタをCFとして出したのも攻撃の狙いとしてカウンタープレスをハメきって個の質が高い3トップで得点を奪おうという狙いがあったからだと思います。

しかしレアルマドリーのビルドアップが安定してプレスをかわしていたことや攻撃が単調気味でうまくいっていなかったことなどを踏まえて、ポゼッション時の攻撃で的確なラストパスを出せてゲームをコントロールできるチアゴに代えました。前半の段階で交代を決断したのはクロップ監督としても采配ミスを認めた上で2失点をいち早く取り返すために早く手を打ちたかったからでしょう。

アゴが入ってからはリヴァプールのパスの通りも良くなり、攻撃も以前よりボールを保持しながらでも崩しにいけるようになりました。後半早い時間帯には相手の処理の甘さもあり、サラーがゴールを決めて一時は1点差にできましたが、その後はゴールを奪えずに終わりました。チアゴの投入自体は良かったと思いますが、既に2失点した後であったことが響きました。

またファビーニョの活躍も普段と違い、2ndボールを拾えず、リヴァプールの2次攻撃3次攻撃というように怒涛の攻めができませんでした。レアルマドリーはあまり中央でボールを繋がずにサイドから攻撃をし、ファビーニョがボールを奪いにいく時間を与えずにプレーしていました。これによって守備のフィルター役でもあったファビーニョを飛ばして攻撃を仕掛けさせてしまったのはリヴァプールにとって痛手であったと思います。

 

18-19CL王者と17-18CL王者というビッグチーム同士の対決は17-18CL決勝同様にレアルマドリーの勝利で終わりました。ヴィニシウスのスピードは脅威であり、リヴァプールにとって守備が不安なAアーノルドのサイドを突破されてしまったのが大きな勝因になりました。CBではどちらも主力ではないメンバーでしたが、レアルマドリーの方が強度の高い守備を見せていましたし、チームとしても上手く守備ができていたと思います。リヴァプールとしてはスタメンにケイタを起用したのが裏目に出てしまったことや好調のジョッタが振るわなかったこともあり、難しいゲームになったと思います。