南野の可能性
プレミアリーグが再開され、リヴァプールvsエバートンのマージーサイドダービーが行われました。
リヴァプールのスタメンとして南野は出場しましたが、この試合での南野のパフォーマンスについて疑問視する内容やリヴァプールでの課題などについて書かれた記事が出たりしています。
今回は私がエバートン戦を見て南野について思ったことや気になったことを書いていきます。
まず南野が起用されたポジションですが、今までの試合では見られなかった右WGとしての出場でした。普段であればチームのエースストライカーであるサラーのポジションですがコンディション不良?のため南野に出番が来ました。その中で南野は自分の求められているものを出そうと特徴を活かしたプレーを心がけていたと思います。試合を見ていてもポジションに拘らずに広い範囲で動いていました。しかし結果としては右サイドの攻撃は停滞し、南野もあまり決定機を作れませんでした。
ではなぜ南野がうまくいかなかったのか彼の特徴を考えながら書いていきます。
【中央で味方へのサポート】
ファビーニョやヘンダーソン、ケイタ、フィルミーノといった選手が中央でボールをもった時に南野はボールホルダーに近づいてサポートに行っていました。日本代表やCFとして出場していた過去の試合でもよく目にしていた動きだと思います。味方へサポートにいくことで、相手のプレスを突破して前線に繋げられるので、動きとしては良いと思います。(たまにフィルミーノと位置が被ってしまっていたのが唯一残念)
【前からのプレス】
リヴァプールの特徴でもある前からのプレスについてはフィルミーノやマネと連動して南野もプレスをしにいけていました。相手のゴールキックやCBがボールを持ってビルドアップする時、ボールを奪われたネガトラでもプレスをしにいけていたのは好印象でした。また、プレスをかわされてパスを通されても、すぐに二度追いして守備の意識の高さを見せていたのも良かったです。
【ゴールへ向かう裏への動き】
①左WGマネが左サイドからドリブルしているときに南野は右サイドから中央へ向かって斜めに走っていました。マネのドリブルを阻害しようと相手の選手がマネに守備対応をしにいくので、相手の視線はマネに向いており、南野へのマークが甘くなっていることを利用して、マネから南野へボールが繋がれば中央(ゴール前)でボールを持てます。ゴールを決めたい南野にとって、この斜めに走る動きは必要なので、良い動きが出来ていたと思います。
②今度も同じ斜めに走る動きについてですが、①の時と違って、悪いように作用してしまった場面を取り上げます。それはAアーノルドが図2の位置でボールを持った時に、南野は①同様に右サイドから中央へ向かって斜めに走りました。この時Aアーノルドとしては選択肢の1つとして普段であればサイドに開いたサラーへパスを出すということができるのですが、今回の南野は中央へ動いてしまったために選択肢が1つ消えてしまいました。その結果、Aアーノルドは前には出さずにボールを下げて攻撃を組み立て直すことになりました。
図2 (13:44)
図3 Aアーノルドとしては南野にサイドに動いてもらいたい
図4 相手に寄せられてパスコースが無いので下げることに
【サイドで幅を取る動き】
②で書いたこと以外でも攻撃のオプションでヘンダーソンが右サイドに上がってサイドでWG、SB、IHの3人が三角形を作って数的優位にし、サイドから崩していくというパターンがあるのですが、ここでも南野が中央にいることでIHとSBの2人で右サイドを攻略するしかなく、サイドの崩しで苦戦させられました。(IHがヘンダーソンではなくOチェンバレンならスピードとドリブルが得意なので数的同数でも突破して崩せるかもしれない)ヘンダーソンとしても奪われた後のリスクを考えると不用意に右サイドを上がるわけにもいかず、Aアーノルドが時折孤立したような状況になっている場面がありました。
図5 Aアーノルドが低い位置でボールを持っている (18:55)
図6 南野が中央ではなくサイドに開いてくれれば前進できた
他にもサイドで幅を取る動きをしなかったために、パスコースが限定される場面もありました。更にリヴァプールの大きな特徴であるロングボールでの大胆な展開もサイドの幅を広く使うことで生きてくるので、ファンダイクやファビーニョがボールをもった時にはサイドに開いて幅を使ったプレーができるように準備しておく必要もあると思いました。
図7 ビルドアップでファビーニョがボールを持っている
図8 南野がサイドに開いていればロングボールで一気に展開できる
【縦への突破力】
リヴァプールの右WGとして出場している以上、求められるのが縦へのドリブルでの突破です。ドリブルで突破することで個人で打開して中央のフィルミーノや左のマネを狙ってクロスをあげられたら1点物です。しかし縦へのドリブルでの突破というのは南野には見られませんでした。これは彼のプレースタイルや個人の能力を考えても難しい部分なので仕方ないとは思いますが、右WGのポジションでは求められるプレーです。
まとめ
リヴァプールの選手としてチームから要求されている動きである前からの守備や奪われた後の対応はうまくできていました。南野の特徴である裏への動きやボールホルダーへのサポートを積極的に行っていたが、右WGとして求められる動きはできておらず、結果右サイドの攻撃が停滞してしまいました。
今回の南野の動きを見ていると中央でプレーさせるのが適正であり、右WGとしては物足りないのでポジションとしては4-3-3ならIH、4-2-3-1ならトップ下が一番良いと思われます。キャラガーも「南野は3トップの一角には向かない」と発言している通り3トップで出場させるには周りの選手ともミスマッチであると思います。
今後も南野の活躍は期待しているので、是非次の試合では彼の特徴が生きるポジションで起用されると嬉しいです。クオリティ自体は良いものを見せていたことや自分の特徴を活かそうと積極的に動いていることは評価できるので今後の試合も注目して見ていきたいですね。