チェルシーvsバーンリー

20-21シーズンのプレミアリーグ第21節に

行われた試合のレビューをしていきます。

 

ランパード監督の下で大型補強によって大幅に戦力が上がったチェルシーだったが、

ヴェルナーの不調や攻撃での個人に頼った戦い方、守備での曖昧さなど様々な課題があったチェルシー。そこからトゥヘル新監督に代わって2戦目になります。初戦は間の時間がほぼ無い状態で挑み、結果は引き分けでした。初戦から中2日しか経ってはいませんが、監督交代による変化が見られました。今回はそこに注目して新チェルシーの試合を見ました。

今回のスタメンです。

f:id:tawagoto_football:20210204124819j:image

f:id:tawagoto_football:20210204124827j:image

オレンジ色がチェルシーで青色がバーンリーです。

チェルシーは3バックを採用し、トップにはエイブラハム、シャドーにはヴェルナーとプリシッチが名を連ねました。そして久しぶりに出場となるマルコスアロンソ、今季は出番が少なかったリュディガーとアスピリクエタの出場という新監督の色が見えてきている人選でした。

【3+2のビルドアップ】

ビルドアップではCBの3人とボランチの2人で組み立てていきます。3バックになったことで4バックの時よりも最終ラインの人数が多い分(4バックの場合は基本的に2CBで最終ラインを作ってSBは1列前に上がるため)パスコースが広がり、後ろで詰まることもなくなりました。2ボランチは同列の横並びで受ける時もあれば、1人はシャドーともう1人のボランチの間に入ることでリンクマンの役割を果たしていました。

相手にブロックを作られてなかなかCBからのパスコースが見つからない時は左右のCBがドリブルで持ち運んで相手を惹きつけることでパスコースを作っていました。特にアスピリクエタはSBをやっていたこともある持ち運びが上手い選手で、状況判断能力にも優れているので、ビルドアップだけでなくオーバーラップして攻撃への参加やネガトラの対応など判断能力を求められるサイドのCBに活かされていたと思います。

【5レーンを使った攻撃】

ランパード監督時に攻撃のチグハグした部分や個人の技術に頼った攻撃が見られましたが、今回は5レーンを使ってピッチを広く使うことで位置的優位を確立しながら攻撃していました。

WBが1番大外のレーンに広がり、サイドの内側のレーン(ハーフスペース)にはシャドーが位置取っていました。中央のレーンには前線にCFが位置取っています。ボランチも中央のレーンでほとんどプレーし、大外のレーンにまで動くことはしませんでした。より中央でプレーさせることでパスコースを多様に持たせて左右にボールを供給しやすく、ミドルシュートの選択も持たせることで安定した攻撃を組み立てられるようにしていたと思います。この試合ではサイドチェンジをする場面も目立ち、相手を左右に揺さぶって相手のブロックに穴を空けるような展開もできていました。セカンドボールの回収やネガトラでの対応もしやすくなりますし、動く範囲を限定させることで体力面の消費も減らせています。

大外のレーンでプレーするWBは基本的に縦の突破からクロスになります。サイドチェンジでボールを受けることで位置的優位を使ってドリブルすることでスライドが間に合わないうちに

クロスやシュートまでもっていくことでバーンリーのSBを苦しめていました。また、クロスまでもっていった時に逆サイドのWBは1レーン移動して内側に入ることでフィニッシャーとしての役割も果たしていました。マルコスアロンソは身長が高いので浮き球のクロスに対して脅威になりますし、ハドソン=オドイはドリブルの突破力とシュートの技術で持ち味を存分に活かせていました。

ハーフスペースでプレーするシャドーは裏抜けやフィニッシャーとしてクロスへの反応を見せることで相手CBの注意をひいてピン留めさせながらも、質的優位を使いながらフィニッシュに絡んでいけていました。このポジションでヴェルナーをプレーさせるのが彼にとっても良いものになると思います。非常にスピードがあり、裏への抜け出しを得意とするストライカーですが、中央でプレーさせるには相手CB2人にマークされた状態で裏へ抜けるのは難しく、スペースも狭くなりやすいので良さが生きにくかったと思います。今回の試合ではゴールはありませんでしたが、以前よりもゴールに近づけるプレーができていました。

【3-4-1-2への変更】

後半からはシステムを変更して3-4-1-2になりました。マウントがトップ下になり、エイブラハムに代わって入ったプリシッチとヴェルナーが2トップになりました。

2トップの方がヴェルナーにとってはライプツィヒでプレーしていた時に近い形でプレーできるので良かったでしょう。もう1人のFWにはプリシッチが入ってハーフスペースでドリブルをどんどん仕掛けてもらいながら、中央を崩してもらおうとしたのだと思います。エイブラハムはビルドアップに詰まった時にロングボールを出して収めてもらったり、WBからのクロスを決めるのに期待されての起用だったと思いますが、期待通りのプレーからはほど遠いものでした。

 

結局ビルドアップを安定させながら、5レーンをうまく使ってバーンリーのブロックを崩し2点を取った新生チェルシーの勝利に終わりました。バーンリーの守備ブロックは4-4-2の形を取るので、2CHのところをチェルシーの2ボランチと1トップ下で数的優位を作れたのも上手く働き、ボールを支配することができました。守備でもバーンリーに攻撃させる隙をほとんど与えず、シュートを1本に抑えることもできていました。

トゥヘル監督体制で良いスタートをきれているチェルシーに今後も期待して試合を見ていきたい。