【感想】レアルマドリー vsアトレティコマドリー

ラ・リーガ22節 2月2日

レアルマドリー vsアトレティコマドリー 

 

普段プレミアリーグばかりでリーガを見ることはほとんどないのだが、気になっていた2チームの試合であったことや、見る時間があったこともあり、フルタイムで試合を見た。

 

レアルマドリーは今季リーグ戦わずか1敗と好成績を残している。特に失点が少なく、なんとリーグ1位の失点の少なさでリーグの順位も首位に立っている。しかしベイルと今季多額の移籍金で加入したアザールの個で打開できる選手たちが怪我で離脱中というのは気がかりだ。

一方アトレティコマドリーは持ち味の強固な守備こそ健在であるが、ジエゴコスタの怪我やジョアンフェリックスの不調などによりチームの調子自体は良くない。

 

f:id:tawagoto_football:20200206210702p:image

シュート数16-4

枠内シュート数5-1

ボール支配率66%-34%

 

レアルは4-5-1で中盤の数を増やしたフォーメーションで挑み、アトレティコは普段通りの4-4-2の形である。

【レアルの攻撃】

レアルの攻撃はカルバハルとヴァラン、ラモスの3人が3CBの形でディフェンスラインを保つ。右サイドはバルベルデがハーフスペースを使いながらモドリッチが外側からサポートする。左サイドはイスコがハーフスペースを使いながらSBのメンディーが外側をオーバーラップしてクロスを狙う。クロースが左サイドの攻撃に参加したり、隙を伺ってカゼミーロが右サイドの攻撃に参加するときもあった。

f:id:tawagoto_football:20200207175511j:plain

【レアルの守備】

守備ではアトレティコのビルドアップに対してベンゼマとクロースが敵CBにプレスをかける。バルベルデモドリッチ、カゼミーロも奪われたら素早くプレスしてボールを回収しにいく。

アトレティコの攻撃】

基本的にボールを奪ったらビトーロにパスをしてビトーロ、モラタ、コレアの3人でシュートまで素早くもっていく。

アトレティコの守備】

4-4のブロックを作ってラインをコンパクトにしながら守る。ビトーロが敵CBにプレスをする時もあったが基本はカゼミーロの近くで中央へのパスコースを牽制する。

【試合の展開】

レアルがボールを持つ時間が多いものの、アトレティコの強固な守備を崩しきれず、シュートまでもっていけない。レアルの中盤はどの選手もボールの扱いがうまい選手ではあるが、お互いの距離が近すぎることや、前線での人数が少ないのも影響しているだろう。アトレティコは4-4のブロックを敷いてブロック外でのボール保持は許すものの、ブロック内への侵入には素早くプレスして奪いにいく。レアルの攻撃がシュートまでもって行けずにアトレティコに奪われることで、ビトーロに預けてからのモラタとコレアでシュートまで素早くもっていくアトレティコのプラン自体はうまくいっていた。

後半に入ると同時にレアルは2人の選手交代をした。クロースとイスコを下げてヴィニシウスとバスケスを投入し、フォーメーションも4-3-3に変更する。4バックはそのままで中盤はカゼミーロがアンカーで右モドリッチバルベルデの逆三角形になり、前線は右バスケス左ヴィニシウス中央ベンゼマになる。この変更によって選手同士の距離が開くようになり、斜めのパスを出しやすくなった。特に左サイドはヴィニシウスとメンディーが外側と内側をうまく使いながらの突破がしやすくなった。ベンゼマも前半よりもボールをもらいにサポートする動きが増え、サイドに流れて数的優位を作ったり、ビルドアップに参加して中盤へのサポートもするようになった。(普段からベンゼマは動き回って味方のサポートができる選手なのでシステム変更はベンゼマの動くスペースを作ることにも繋がっている)中盤のバルベルデも前半よりも中央でプレーが出来るようになったことで、クロスのこぼれ球から強烈なミドルシュートを放てたり、守備でもフィルターとしてボールを奪い返しやすくなった。これはモドリッチも同様に見られた。

48分にアトレティコもモラタを下げてレマルを投入し、コレアをCFにしてレマルを右サイドにして前線から守備をするようになる。(モラタを下げた理由は前線からの守備を疎かにしていたことや前半の攻撃時にゴール前でのポジション取りで役割を果たせなかったから?)

すると56分に左サイド外側でボールを持ったヴィニシウスから内側を飛び出してきたメンディーにパスが渡り、メンディーの低い弾道のクロスからベンゼマが合わせてゴールが決まる。まさにシステムを4-3-3に変えたことがゴールに繋がったプレーだ。先制点を決めた後も右サイドを中心に攻撃をする時間が続くレアル。守備面でもアトレティコのビルドアップにはベンゼマモドリッチがプレスすることで自由に攻撃をさせない。前線のプレスを突破されてもバルベルデモドリッチ、カゼミーロが素早くプレスをするし、カゼミーロが空けたスペースにはラモスが1列上がることでカバーする。結局アトレティコカラスコとカメージョを投入して前線を入れ替えるが目立ったチャンスは作れずに試合終了した。

 

f:id:tawagoto_football:20200207175605j:plain

【総評】

前半はレアルの中盤が多いことでパス自体は繋がるもののシュートまでなかなかもっていけなかったが、後半開始に思い切った交代をすることでシステムも変更し、見事にそれが成功した。前半だけの内容で交代に踏み切るのは非常に勇気のいる決断であるし、クロースとイスコというどちらも大きな実績をもったタレントを下げるというのはジダン監督であるからこそできるものであると思う。

細かいプレーを見ているとどの選手も質が高く、総合的な能力の高さに驚かされた。例えばモドリッチはパスの質の高さ、ドリブルで敵の守備ブロックへの侵入、ボールを奪われた後は素早く体をぶつけて奪い返しにいく動き、敵のビルドアップに対してベンゼマと共にプレスするなど様々なプレーを見せていた。これ程のプレーをどれも高い質でこなせる選手は世界中でほとんどいないと思う。

レアルの良いところばかり紹介していたが、見ている中で課題も見えた。前線からのプレスは前半ベンゼマとクロース、後半ベンゼマモドリッチで行っていたが、レアルとアトレティコの配置をそれぞれ考えるとクロースやモドリッチがプレスをしにいくのは本来のポジションからの距離や運動量を考えると非効率であると思う。効率的にプレスをするならば前半ならベンゼマとイスコorバルベルデ、後半ならベンゼマとヴィニシウスorバスケスが行った方が本来のポジションから近いので良いだろう。おそらくこういった前線からの守備に関してジダン監督から細かい指示が出ていないのではないだろうかと思う。

アトレティコについても強固な4-4の守備は素晴らしかったが、攻撃の部分で課題が見えた。ボールを奪ったらビトーロにボールを渡してモラタとコレアでゴールを奪いに行く狙い自体は良かったと思う。しかしモラタを下げた後のレマル投入の意図やモラタの高さを使ってボールを奪った後のターゲットマンとしての役割をさせたり、メンディーがオーバラップした後の空いたスペースを使うような動きがあった方が良かったのではないかと思った。

普段はプレミアリーグばかり見ている私だが、今回の試合は見ていて面白かったので、今後もCLやリーグ戦で面白そうな試合があれば見ていきたい。